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「上町」でカフェを営む理由 生まれた町での取り組みと、想いのすべて(後編)

公開日:2019年8月22日│カテゴリ:上町カフェについて

「縁あって上町カフェのサイト作成に協力いただくことになった、WEBライターの本田もみじさんと、あかぎあおこさん。今回、私のこれまでの歩みと、カフェ開業に至るまでの道筋を、インタビュー形式でまとめていただきました。

前編・後編に分かれています。先日投稿した前編は、コチラから・・

後編も是非ご一読ください。」

「上町」でカフェを営む理由
生まれた町での取り組みと、想いのすべて(後編)

大阪メトロ「玉造」駅から徒歩約4分、カルチャーのあるカフェをモットーに、レンタルスペースも併設しているのが「ハーティネス 上町カフェ」。

店主の平中さんは、予防ケアの普及をはじめ、コミュニティ作りなど、さまざまな活動を手掛けています。そこで今回は、今までどのような思いで活動に取り組んでいたのか、そしてカフェをオープンした現在思うことは何かを、ライターのあかぎがインタビュー。2回に分けてお届けします。

後編は、オープンして約4カ月たった現在、カフェを営業する中で感じている思いについて語っていただきました。

■不思議な縁に恵まれる場所

オープンして約4カ月、自分が抱いていた妄想が叶っていると語る平中さん。生まれ育った上町は文教地区であり、店の徒歩圏内に中学・高校・大学、幼稚園などが数多くあります。

オフィスもあり、日中の世代層が厚くカフェに訪れるお客さんも20~80代と年齢層はさまざま。そのおかげで不思議な縁に恵まれるとのことです。

「物件のオーナーも同世代で、シニアカルチャーにお母様が興味を持って下さったり、オーナーも、ご姉妹でお花のレッスンに通っていただけたり、と嬉しい繋がりができています」と話します。

こどもの入学式の時にたまたま来店し、運動会のときにも来てくれたご父兄の方や、店から徒歩圏内にある幼稚園に毎日お迎えをしている60代のお洒落なおばあちゃま、裏手にスウェーデンカフェを構えるご店主など、バラエティに富んだお客さんに刺激をもらう日々を送っています。

■地域の持つ独特の良さを再認識

最近特に驚いたのが、奈良からわざわざやってきたという女性起業家の方の来店。

これから何らかの事業を興していく際のお手本として、平中さんがどのようなことをしているのか、カフェはどんな雰囲気なのかを見てみたいとご訪問くださったそうです。

もともと知り合いではありましたが、その方のお母さまが大阪女学院出身で、カフェのある場所に所縁があったのが、来店のきっかけでした。さらに話を進めていくと、実は起業家の方と平中さんと生まれた病院が同じだったことが判明し、めぐりあわせにお互いに驚いたそうです。

ちなみに秋ごろには、その起業家の方によるワークショップが行われる予定です。
「もともと独特な街だと思っていましたが、改めてこの街の良さを再認識しています」と、地元のお客さんと生まれる不思議な縁を楽しんでいるようでした。

■亡き母と語りあった淡い夢が現実に

実は平中さんにとって、カフェの経営は若い頃からの夢でもありました。

20代の頃は近鉄百貨店などにお母さまとよく出かけており、雰囲気のいい喫茶店を見つけて入ることが楽しみのひとつ。

「毎朝必ず来てくれるお客さんがいて、モーニングを食べながら新聞を広げている。そんな様子を店長として眺めていられるような喫茶店をいつかやってみたいね」と、お母さまとよく話していたそうです。

しかし、そんな淡い夢を語り合っていたお母さまは、カフェの着工日の日に逝去。「年齢や病気の進行具合から覚悟はしていたんですけどね」と言いつつも、当時は開店準備であわただしく、向き合う余裕はありませんでした。

ただ、今になってこう振り返ると、20代の頃に亡き母と語った淡い夢が現実になり感慨深い気持ちだと話します。

ハーティネス上町カフェ内観イメージ

■お客さんのことを考えるのが楽しい

少しでもお客さんに喜んでもらいたいという平中さんの思いもあり、上町カフェのランチメニューは週替わりになっています。

もともと料理が好きだったとはいえ、カフェ向けのメニューについては素人。そこでオープン当時は、息子とともに知り合いの専門学校の講師に学んでいました。

実は週替わりにすると決めた当初、周りからは「週替わりは大変だからやめておけ」と反対の嵐。しかし、「お客さんのことを想像しながらメニューを考えるのが楽しい」と、平中さんにとっては大変なことどころか、楽しみのひとつにもなっています。

その甲斐もあってか、今では週に一回必ず足を運んでくれるお客さんが少しずつ増えているそうです。

■さまざまな年代のお客さんとのかかわり

カフェのオープン当初は、今まで起業家同士の勉強会や、認知症カフェを運営した経験から、カルチャーの面を打ち出していこうと思っていたといいます。

しかし、実際にカフェを営業する中で、その方向性ではないと気づきました。

はじめは店の入り口にはセミナー告知のビラなどを数多く掲示していましたが、「お客さんからすると、結構それが怪しく見えたみたいです。指摘されてからはあまりカルチャーの告知を前面にしなくなりました」と平中さん。

カフェをメインに打ち出した今では、階段があるにも関わらず、興味をもって来店するお客さんが増加。階段があることでお客さんの足が遠のくのではと心配していたことが、今では杞憂だったと笑います。

それほど多くはないですが、会社があるのでランチタイムにはOLのお客さんがよく来店。一人で来ていると思いきや、次の来店時には友人を連れて来てくださることもあり、それが平中さんの楽しみの一つでもあります。

「以前谷町のビジネス街で認知症カフェを運営していたんですが、そこでは全く触れあってこなかったような若い世代の方と関われるのが、楽しい」。

■多様性のある”カフェ”であり続けたい

カフェだからこそ来てくれるお客さんたちとの交流を大事にしたいという思いから、来店したお客さん同士をこちらから繋げようとしていないという平中さん。周りのお客さんと話すのもあり、ただゆっくりと休憩するだけでもあり、あくまでお客さんの好きなように過ごしてほしいと語ります。

「もちろんカルチャーに興味を持ってもらえると嬉しいですが、今はあくまでカフェとして見てほしいですね。カフェならではのお客さんとの触れ合いを味わっていきたいです」。

そう話す平中さんの抱く構想は、次はどんな未来に繋がっていくのでしょう。

■インタビュー後記

40代後半での起業、さらに仕事や介護をする中での資格取得、さまざまなコミュニティの運営。そんなプロフィールから、お会いするまで平中さんに抱いていたのは、かなりパワフルな方だというイメージ。しかし、実際にお会いしてみるとどんなエピソードも穏やかにお話しされ、そのギャップに驚きました。

とはいえ、「早い時期から予防ケアを始めることの大切さ」などについて話す姿は真剣そのもの。自分がいいと思ったことは形にしていきたい、そんな平中さんの持つ力強い一途さが、自然と周りに応援者や協力者を作り出す巻き込み力を創り出しているのだと感じています。


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