【認知症を知る】料理と食事で認知症予防
公開日: │カテゴリ:すこやか(認知症)カフェ, 認知症予防
あなたは料理が好きですか?献立を立てて、材料を用意し、作る順番を考え、と料理には思っている以上に段取りが大切ですね。意外に思うかもしれませんが、実は料理と認知症とのつながりはとても深い。「料理の味つけが変わった」という項目が初期の認知症の症状に挙げられるほどです。そんな料理と食事について考えてみましょう。
「料理療法」を知っていますか?
「料理療法」とは料理を通してさまざまな身体の症状改善や回復、情緒安定を図り、生活の質(=QOL)向上と豊かな人間関係構築を目指す療法のこと。薬物を使わない治療方法として、音楽療法や園芸療法とともに注目されています。最近のグループホームなどの介護施設では「料理療法」を導入しているところも多く、楽しい上に達成感を味わえると好評です。改めて「料理する」ことの大切さを感じます。
料理は認知症予防にも最適
料理が身体の症状の改善や、情緒の安定に役立つのは介護施設だけの話ではなく、もちろん家庭での料理でも同じこと。わたしたちは思っている以上に、料理をしているときに頭を使っています。
① 献立を考える
② 必要な食材や器具を考える
③ 調理法と段取りを考える
④ 味を整える
⑤ 盛り付けを考える
と、ざっと挙げただけでも5つの考えるプロセスがあります。また、調理には
① 材料を洗う
② 切る
③ 皮を剥く
④ 混ぜ合わせる
などと手先を使う作業もたくさんあります。
実は、料理には一連の流れを通して頭を働かせるポイントと手先を活用する場面がたくさんあります。だから、料理をしていると意識をせずとも脳が活発に働くのです。つまり、調理は脳トレのようなもの。これが料理が認知症予防にも最適な理由です。
料理することで得られるもの
料理で得られるのはいわゆる脳トレ効果だけではありません。できあがりが目に見える料理は、達成感を得やすく、さらにはできたものを食べる楽しみもあります。この達成感は認知症予防にはとても大切なものです。
また、料理することで家族とのコミュニケーションが増えたり、よりおいしいものを作りって家族を喜ばせたい、と新たなメニューや調理方法への興味につながることもあります。料理が生活を楽しむきっかけになるかもしれません。
料理は身体と脳の健康のためにとてもよい働きをするのです。
食事で認知症予防はできる?
料理が認知症予防に役立つことはわかりました。では、食事はどうでしょうか?認知症にはいくつかの種類がありますが、一般的に日本の認知症患者約6割がアルツハイマー型認知症だといわれています。
このアルツハイマー型認知症には食生活の偏りが大きく関係していることがわかっています。
・抗酸化物質の不足
・脂肪の摂りすぎ
・ミネラル不足
・塩分の摂りすぎ
これらはアルツハイマー型認知症と関係があるとされている項目です。
特に塩分や脂肪の摂りすぎは血管を老化させ、抗酸化物質の不足は新陳代謝が滞り老化の原因になります。このような点に注意しながら食生活を見直すことが認知症予防の第一歩です。
認知症予防におすすめの食材
認知症予防に効果があるといわれる食材は多くあります。ここでは4つの食材をみてみましょう。
- 青魚
サンマやイワシ、サバなどの青魚には、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)といわれる不飽和脂肪酸が豊富に含まれており、悪玉コレステロールを減らす働きが期待できます。DHA・EPAは青魚のほかに、ウナギやマグロのトロ、真鯛にも含まれています。
毎日魚を食べることがむずかしい場合は、ちりめんじゃこやしらすがおすすめ。イワシの稚魚なのでDHAもEPAも豊富に含まれ、そのまま手軽に食べることが可能です。
- 大豆
大豆に含まれるレシチンは神経伝達物質を生み出すことができます。神経伝達物質の不足は記憶力の低下につながり、認知症予防には欠かせない成分だといわれています。
また、納豆に含まれる納豆キナーゼは血栓ができるのを防ぐ効果が期待できます。
- 野菜や果物
バランスのいい食事には、野菜や果物は必要不可欠。認知症予防だけでなく、健康維持のためにも積極的に食べたい食材です。赤ビーマンや柿にはビタミンCが、かぼちゃやほうれん草にはビタミンEが豊富です。これらのビタミンには抗酸化作用があるといわれ、血中コレステロールを下げ、血管の老化を防ぎます。また、これらのビタミンが認知症予防に効果があるという研究結果もあります。
- オリーブオイル
オリーブオイルには、オレイン酸が含まれています。オレイン酸は不飽和脂肪酸の一種。青魚と同様に認知症予防に効果的といわれており、血中コレステロールや中性脂肪をコントロールする働きがあるとされています。いつも使う油をオリーブオイルに変えてみたり、サラダのドレッシングに使ってみるのもおすすめですよ。
認知症予防 どう食べるのがよい?
何か特別なメニューを食べるのではなく、バランスのよい食事をとることが認知症予防の基本。認知症予防に効果的とされる食材をたくさん食べれば、認知症にならないというものではありません。栄養バランスが整っていないと、それぞれの食材の効力もうまく発揮されない可能性もあります。まずはバランスよく食べ、そこから、認知症予防に効果があるとされる食材を追加するといいですね。
おすすめは「和食」。主食、主菜、副菜でしっかり栄養のバランスを取ることができます。とはいいながらも毎食となれば、なかなかハードルが高いもの。そんなときは、お惣菜やコンビニなどを利用するのもいいでしょう。そのときも主食、主菜、副菜のバランスを考えながら選んでくださいね。
また、食事を楽しむことは脳へのよい刺激。毎日の食事を楽しめるような工夫をするのもおすすめです。
楽しくおいしくバランスよく。これが認知症予防の食事で一番大切なことです。
まとめ
料理は作るのも食べるのも認知症予防になります。何歳になっても料理も食事も楽しみたい!そのためにも認知症にならないようにすることは大切ですね。カフェでは旬の野菜たっぷりの栄養バランス抜群の食事をご用意しています。料理するのに疲れたときはぜひご利用くださいね。